時は1974年。
奔放な物言いと独自のボクシングスタイルで絶大な人気を得ていたモハメド・アリも、齢32才を過ぎ、全盛期のスピードは見るかげもなく敗戦続き。人々からは"終わった選手"と見られていた。
一方、対戦相手のジョージ・フォアマンは25歳の上り坂、戦績も無敗の40連勝中と、誰もが認める当時最強のチャンピオン、まさに絶対王者であった。
この二人がコンゴのキンシャサでタイトルマッチを行うことになった。そして誰もが思った。
「アリは殺されてしまう」と。
そして全世界が見守る世紀の一戦の火蓋を落とされた。
試合は戦前の予想どおり、若き王者フォアマンの一方的な試合となった。3ラウンド、4ラウンド・・・5ラウンド・・・、6ラウンド・・・フォアマンの殺人パンチが、まるでリンチのようにアリの体を打ち続けていく。全盛期のアリでは考えられないほど惨めな残酷ショー。人々は思った。もうと止めるべきだ、と。
しかしアリの目は死んでいなかった。
むしろ術中にハマっていたのはフォアマンの方であった。アリはフォアマンとマトモに打ち合うことをせず、ひたすらディフェンスを固め、時には背にしたロープの反動を利用してフォアマンの打撃を吸収しつづけた。"ゾウをも殺す"といわれたフォアマンの強打とまともに打ち合っていては勝ち目は無い。アリがとった作戦は、徹底してディフェンスを固め、ただ静かに「その時」を待つことだったのだ。
そしてボクシングの神は8ラウンドに奇跡を起こした。
度重なるパンチの空振りにスタミナを切らしたフォアマン。そのフォアマンの顔面を徐々にアリのパンチが捉えだす。信じられない。場内を埋め尽くす何万もの観客、いや世界中の人々がアリの反撃に驚きの声をあげた。
そしてアリは「その時」が来たことを悟ると、それまで蓄えていたスタミナを一気に爆発させるようにファオマンへ逆襲、フォアマンをマットに叩きつけると、ついにフォアマンを王座から引き摺り下ろし、見事王座へ返り咲いた。
これがボクシング史上、最高の名勝負と言われる「キンシャサの奇跡」である。
「我々は少しの間、ただ耐えなければならない」
思うようにシェアが伸びずに苦戦を続けるPS3だが、SCEEのボス、デビッド・リーブスの目は死んでいなかった。
「これはアリ対フォアマンのようなものだ。8~9ラウンドまではやつらに好きにパンチを打たせておけばいい。それでも我々は立ち続ける。そして利益をあげる。我々にはまだまだラウンドが残っている。我々は相手をぶちのめしてノックアウトするとは言わない。ただ我々は立ち続け、戦い続けるのだ。」
リーブス:kazちゃん。俺達・・・終わっちゃったのかな?
カズヒライ:バカやろう!まだ始まってもいねぇよ!
といった会話がなされたかはわからないが、"10年サイクル"を標榜するPS3の
"かげがえの日々"はまだ3ラウンド(3年目)の途中である。
http://www.guardian.co.uk/technology/2009/feb/05/david-reeves-sony-europe-losses